「人生で楽しかった出来事ランキング」（『嫌な女』を読んで②）
こんばんは、ナユリゼです。
先日読んだ桂望実さん著『嫌な女』に関しての色々をもう少し書いておこうと思います。
物語の大筋というか、ざっくりとした内容・感想はこちら↓
さて、この物語の主軸となる
さらっと読むとタイトルの『嫌な女』はまさに彼女のこと、
と思ってしまいます。
顔は男に言わせれば中の上と言ったところ、
知性はない。
自分の思い通りにならないと癇癪を起こす。
なのに妙に魅力的。
男に夢を見させ、金を巻き上げる天才。
女にはほぼ例外なく嫌われれるが、物ともしない。
生来の詐欺師。
そんななっちゃんに主人公の徹子もいつも呆れています。
けれど、そこは「遠戚」で
クライアントと弁護士、という一定の距離も取っているので
つかず離れずの関係。
「それ、どう考えても結婚詐欺じゃない？」
っていうようなことも多々巻き起こすなっちゃんですが、
なぜか被害者のはずの男たちは
彼女に希望や、自分を見つめ直すきっかけを貰っていたり。
徹子はいつしか
夏子が次に何をしてくれるだろう、
とわくわくしたり、つい彼女に肩入れしがちになったり、
そんな不思議な気持ちが芽生えているのです。
でもですね、
なんだか読んでいるこっちもいつのまにか
夏子のことをよくわかってるような気になって、
「いやいや、あの夏子がそんなんで終わるわけないでしょ！？」
なんて肩入れしたくなったりしてるから面白いのですよ(笑)
夏子の考えや思いは一冊読んでも終始分からないのですが、
彼女と関わった男たちが語る、彼女の言動やエピソードは
こころをわしづかみにされるほど、とても魅力的です。
わたしは特に
「人生で楽しかった出来事ランキング」
のエピソードが素敵すぎて、くらくらしたほどです。
このエピソードの大筋ですが、
夏子さんはあるとき、
ひとりの裕福な、だいぶ年齢差のある男性Hと知り合い、仲良くなり、
途中で男性が重い病で入院したにもかかわらず、
献身的にそばに居続け、元気づけて慰めになり、
しっかり遺言状も書き変えさせ（苦笑）
H氏とは色々複雑な事情で疎遠になってしまっている一人息子と
結果的にバチバチやるという。
それで徹子に相談が来ます。
夏子は基本詐欺師なのですが詰めが甘く、
どこか憎めない。
そして基本いつでも本気です。
そこが憎めない所以かと思われます。
H氏の入院中に
H氏のみならず、近くのベッドの患者さんにも話しかけ、
楽しい思いをさせたようです。
「人生で楽しかった出来事ランキング」を作ろう!
夏子はその遊びを病棟で流行らせた、と。
本書には何人かに
「今までの人生で楽しかった出来事ランキング」
を訪ねるシーンが出てきますが、
その回答をきっちりと示してくる人物はほぼいない。
でも、これはとても楽しい遊びです。
わたしもやってみました。
そしてとても切なく、懐かしく、
自分の人生捨てたもんじゃないな、
と思えました。
この遊びは、
自分が一体何を大事にして生きてきたのか、
何を大事にしなければいけなかったのか、
を目の前に突き付けられるものですので、
涙が出るし、
それに沢山の宝物を持っていることに
気づいてしまいます。
遊びだと思っていても、
真剣に過去を丁寧に見返していって、
あっ！というようなものを思い出す
時間が有り余ってしょうがない
というようなときは、
そういうランキングを考えてみると良いと思ったのです。
本当は時間を作ってでも
見返していけば、大事なものを失うようなことにもならないのかも。
などと思いました。
そんなことまで、楽しませながら振り返らせる、
これがなっちゃんの魅力か、と思いました(笑)
こりゃ、いちころですよ。
特に行き詰ったときには、
「今までに楽しかった出来事ランキング」
を１～１０位くらい、
難しければ１～５位くらいまでを
必死で今までのこと思い出して考えてみよう。
たぶん、
とても「そのときの自分らしい」自分の楽しさ
が出てくるのではないだろうか。
楽しいし、嬉しいし、胸がきゅーっとなるよね、きっと。
生きてきたあかし。
今のわたしの
「人生で楽しかった出来事ランキング」
の１位は
あゆむが生まれて抱っこしたときのことです。
２位以下はあえて公表しませんが、
１０位までの多くをあゆむのことが占めると思います。
「人生で楽しかった出来事ランキング」
にはおおむね
その人が大事だと思う人
が反映されてきます。
だから、とてもとても愛しい。
みなさんの宝物がめいっぱい守られますように。
