祈りとあの日のきらめく空と

初めての出産と、18トリソミーと診断された我が子あゆむのこと。           あゆむは2019.1.24にこの世に生まれ、そしてお空に帰っていきました。     地上で生きる天使ママの日記。

この世でただ1人だけの 『産声のない天使たち』(深澤友紀/朝日新聞出版)

こんにちは、ナユリゼです。

 

先日の天使のブティックの活動中に

『産声のない天使たち』

という本の話題が出ました。

それというのも、この本は

天使のブティックも取材を受けて、

多くのメンバーさんが実名で登場しているものなのです。

AERAという雑誌に連載された「みんなの知らない出産」という記事に

大幅に加筆し、本にまとめられたものだそうです。

 

奇しくもちょうど図書館から借りた本書を

読み終わったばかりだったので、

思うところを書いてみます。

 

 

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本書の著者は、

我が子が2人とも

生まれてすぐにNICU(新生児集中治療室)に入るという経験を持ち、

出産の喜びでいっぱいの他のママさんたちの中で辛い思いをされています。

彼女の友人が死産により悲しく切ない思いに苦しむのを

そばで支えた経験もあるとのこと。

 

妊娠・出産は幸せで希望に満ちた明るい面にしか注目が行かないが、

そのすぐそばに、悲しく辛く絶望のどん底に落ちているのに

理解もされずに苦しんでいる人が必ずいる。

少しでも多くの人がそのことを「知っている」だけで

世界は今よりもその分優しくなるのかもしれない、とわたしも思います。

 

この本はその性質上、

「天使ママ」の体験談が中心となっているのですが、

それ以外にも「医療ケアの必要な子どもの家族」や「医療者」の声も

少し知ることが出来ます。

本当に出産は色々です。

けれど、元気に生まれる子どもの数のほうが圧倒的に多いので、

そうではない子どもやその家族はどうしても「マイノリティ」になってしまいます。

そうなると

情報(病気や治療や生活等々多岐にわたって)がない

周りからの理解がない

助けてくれる人がいない

の3大「ない」にも悩むことになってしまうんですよね。

 

この3大「ない」が常にあると、人は孤独に陥ります。

さらに弱っているのもあって不安になり、絶望感が増していくのです。

でも、起こっている事実が変わらないのだとしても

情報・周りからの理解・助けてくれる当て

の3つがあれば、うまく前を向くことが出来るものだとわたしは思います。

 

だから、機会があったら

めったにない経験を得てしまった人(本書においてのことばかりではなく)

の状況等を知ってみるのも世界を生きやすくする方法のひとつなんじゃないのかな。

などと考えながら読み終えました。

 

沢山の人がこの本を読んでくれるといいな、と心から思う。

それも、いろんな立場の、いろんな状況の人が。(心理的に難しいときもあるかもしれませんけどね)

 

わたしは、というと

自分でも「体験者」となって、現在も体験中と言える立場だし、

救いが欲しくて散々書籍や「天使ママ・パパ」のブログなどを読み漁ったし、

天使のブティックでいくらかみなさんのお話もお聞きしていたので、

本書の内容は、特に真新しいことは何もなかった。

(それでも読んで泣くんですけどね。笑)

けれど、気付いたことがあります。

 

わたしは最初は悲しくて辛くてどうしたらいいのか分からなくて、

わたしだけじゃないんだという藁にすがるために

いろんな方の経験や思いを読んでいたんです。

そして同じような思いをして戦っている人がたくさんいるんだ、

と励まされました。

 

でも今この本を読んでみて

ああ、わたしはもう体験談を読む、ということにすがる必要はないのだな、

と思ったんです。

分かったのは、

確かに愛しい赤ちゃんを亡くす、という「同じ」経験ではあるけど、

どれ一つとして同じものはないし感じることもそれぞれ、

そしてその後の歩みも、経験したこととの向き合い方もそれぞれである、

という事実です。

 

わたしは「1人ではない」ことを支えにする段階から、

一周まわって「1人なんだ」というところに結局戻ってきたんだと思います。

そう、

これはわたしの経験、わたしの涙、わたしの痛み、

そしてわたしの喜びと愛しさと命です。この世でわたしただ1人だけの。

そうか、ここに戻ってこなきゃいけなかったんだな、と気づいた。

戻ってこられたわたしは、すでにもう一歩足を踏み出しているし、

そしてそのことを自分で誇りに思います。

 

まあ、まだまだうろうろしながら苦悩したり悲嘆にくれる日々でしょうけど、

そのことをいつの間にかわたしは覚悟できている。

頼もしい自分だ、って思います。

きっとあゆむもママをそう思ってくれているはず。

 

本書はそういう自分の進化も気づかせてくれました。

読み手やその状況が違うとやっぱり感じることは違いますね。

これだから読書は面白いなあ。

 

みなさんの宝物がいつだって守られますように。