困難な休日 『言えないコトバ』(益田ミリ/集英社文庫)
こんばんは、ナユリゼです。
今年はゴールデンウイーク、実に長かったですね。
人それぞれ楽しかったり退屈だったり忙しかったりなどきっと色々なゴールデンウイークがあったことでしょう。
個人的には長くてつらいゴールデンウイークでした。
街に出れば、異様な人混み。
どこを見ても子供連れの楽しそう(に見える)な家族。
どこを見ても仲良しで幸せ(に見える)カップル。
はて、
なんかわたし浮いてないか?
というか、自分からあえて違う世界にぷかぷか浮いてる気分になってないか?
そう思いつつ、
やっとの思いで自宅に逃げ込んで、閉じこもる。
おかしいな、
わたし前はこんなんじゃなかったはずなんだけどな。
そんな自問自答の毎日で、負荷が高かったです。
なんか自分のきもちや気分が良く分からなくて、もんもんとしていました。
ゴールデンウイークが終わったからと言って
状況が何か変わったというわけではないけれども、
なんとなく安全な日々に戻ったような気分がする。
気分だけなんでしょうけど、気分って大事だと思う、今日この頃。
そんなわけで、さらっと読めそうな本に手が伸びます。
この著者の作品はコミックの方が好みなのですが、
あまりにもさらーっと読めて気が楽なので、エッセイも時々読みます。
本作もひじょーにさらーっと読み終わりました。
(褒め言葉です)
こういう気楽に読めるものって世の中には必要だと思う。
日常の、とるに足りないわざわざ改まって話題にするようなことでもない、
それゆえちょっと言いづらかったりすること、
でも誰しも「あるある」と思ってしまうようなことを
著者は良く本に書いていらっしゃって。
それは読んで「楽しい!」とか「心温まる!」とか
強い気持ちを呼ぶものではないのですけども、
気心しれた友達と、大したこともない話で盛り上がって、
なんとなくいい気分でおうちに帰る、
みたいな感覚を覚えるのですよね。
そんな中にときどきキラリと光る、はっとするような言葉があったりもするところが
いいなあ、と思ってます。
本書は「世間では良く聞く言葉だが、なんとなく抵抗があったり気恥ずかしくて口に出せないコトバ」
について書かれた短いエッセイ集なのですが、
その中の一つに
「自信を持って」
というエッセイがあります。
このコトバはかなり上から目線になるので言えないし、言うとしても相当気を付けないとねえ、という内容なのですが、
このコトバ以外でも、そもそも人を励ますのって難しいことだ、
ということも書いておられ、おお!と思ったのです。
『「がんばって」とか、「なんとかなるよ」とか、「元気を出して」というコトバは、相手にさほど親身にならなくても使いやすいコトバ。
「ひとごとだと思って、適当なこと言いやがって」
考えなしに使うと、根に持たれる危険だってある。』
『だいたい、人ってそんなに励まされたいものなんだろうか?
落ち込んだり、弱っているときに、やたら明るく励まされて、人は本当に元気になるのだろうか?』
こういうことって、
みんな案外思っていても言わないですよね。
言いづらい。
でもそれを、しれっと普通に書いておられるのが
おお~!
と思ったのです。
よくぞ言ってくれた!とも思うし、わたしも気を付けよう、とも思う。
こういうことをなぜ言いづらいかといえば、
やはり「元気である状態」を
世間ではのべつまくなしに良いことであると称え、
また、元気のないものを目にすると辛くなったり悲しくなったりしてしまう、
人というものの性が原因でもあるのだろうなあと感じる。
励まされるとかえって困っちゃうことって
けっこう多いですよね。
まあ、励ますほうもたぶん困っちゃった上、励ますしか思いつかなかった
ということなのだろうけども。
難しかったり困った時は、無理をしなくてもいいよな、
とわたしは最近思うのでした。
今まではつい無理しちゃってたかもな。
みなさんの宝物が守られますように。
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